from3.5次元to浄土
俺と音盤の対峙一部始終。(text=色即zk)

最新盤 last up=00/07/01

夢よ叫べ/遠藤賢司
デビュー30周年記念盤でもある『エンケンの四畳半ロック』は昨年(99年)にリリースされたのだが、そのライナーノーツにはこうはっきりと書かれている→ 「僕は20世紀最後もしくは21世紀最初の紅白歌合戦に出場し『夢よ叫べ』を歌うつもりだ。」 これを読んだ俺は一年勘違いして昨年の紅白を必死になってチェックしていたのだ。勿論そこにエンケンの姿はなかったのだが、俺は今年もしくは来年、必ずやエンケンが紅白に出場し『夢よ叫べ』を絶唱するものと今も固く信じている。いやエンケンこそ絶対に紅白に出場しなければ/させなければならないのだ! しかも毎日のように本当につくづく嫌んなるニュースが溢れ返る今だからこそ、大晦日に日本全国に向けて『夢よ叫べ』を放送することの意義は計り知れない…そう俺は本気で思うんですが、俺は間違ってますかNHKさん?(まあ喜納昌吉&チャンプルーズの『花』もそりゃ名曲なんですが…、沖縄サミット引っ掛けて今年もまた!という線は是非避けて頂きたい。)いやNHKでやんなきゃ、俺は俺で独自に、昨年と同じく爆音でエンケンを聴きながら新年迎えるんだが。近隣の人々よその際は見逃して下さい。煩悩まみれの全肯定。除夜の鐘よりもずっと尊い大宇宙の素っ裸ロック。
loveless/my bloody valentine
明滅する光源の音像化。聴き入っていると持っていかれそうにもなるが、決して朦朧とさせるのではなく、かえって感覚が研ぎ澄まされていく。眩いばかりの光源の更にその果てへと焦点は絞られていて、しかも揺るぎがないので、騒音の即身成仏は成し遂げられ得る。『loveless』はこの世の録音物で最も涅槃に近づくことの出来たもののひとつだから、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン=ケヴィン・シールズ自身すらが後が続かぬのも無理からぬとも思えもするが、ギターから放たれ重ね合わせられ束になったフィードバック音に込められた念波によって、音霊の水子供養や地縛霊救済が行われ続けていることには今も何ら変わりがない。91年作。スローモーションで散乱する轟音の彼方に、消え入りそうなビリンダの唄声が重ね合わせられるとき、眼前にすっと電気菩薩が立ち昇っている。
live august/ローザ・ルクセンブルグ
俺は高校の頃リアルタイムに接していたのだが、特に『U』における演奏の硬質さと言葉のぶっ飛び方の醸すキテレツぶりには異様な興奮と快感を覚えまくっていたので俺は日がなちょちんちょちん云いまくってたのだった。今にして思えばアレは春の目覚めのようなものだったが当時は俺がまだガキんちょだったことやローザ自体大いにメジャーな存在だったことなども含め、はっきりと気付いてはいなかったが、今になって聴き返しゃ、おーなんと、おおっぴらな葉っぱ礼賛楽曲の数々。んでしかしそれにしても、やたらでっかっい声で歌いまくるどんとの「おおっぴら精神」にこそ見習うべきものが実はたんまりと含まれまくっていたとは今更ながらも思い知らされてしまうのでちょっと悲しくもなるが、いや、でもこのローザ解散ライヴを頭から尻まで丸々収めた2枚組音盤にもどんとの「おおっぴら性」は永久に保存されているんでこれからもずっと、雲の上から歌ってるちょちんちょちん。そら天国の上でだって歌いまくってるに違いないよちょちんちょちん。村八分から脈打つ京都アンダーグラウンドの前衛なんか含んでる感じも今聴くとよく判るので俺はこの盤を推すよちょちんちょちん。
atomosphere live/山口冨士夫
日本の誇る偉大なるズルムケ…。
(聴けば判るが全人類への愛しさ爆発してる強力音盤。)
little swallow/さかな
因みにこの盤は98年に出た旧盤『リトル・スワロー』なのだが、新たに出直した同タイトル音盤じゃジム・オルークがプロデュースに一枚噛んでますんで俺がつくづくと思わされんのはオルーク氏、どー考えてもさかなをはじめ日本の歌モノ・バンドの影響が色濃いんではないの。例えばロバート・ワイアットなんかにも通じる「秘湯感」を俺はさかなにも持っているのですが、音盤巡るのはまさに旅路。それなりに山分け入ってこそ巡り合うべき慈愛溢れる音盤ゲルマニウムとも云うべきものもあるってわけです。ヴォーカリストのポコペンさんは元来ゴーバンズのギタリストでもあったのだが、メジャー進出直前に失踪したとかしないとか。いやしかしそれにしても、もうかれこれ10年以上もの間ひっそりと名盤作り続けてるとは…。俺は『水』というかなり初期の作品から接し、現代詩的コトバと童謡を思わせる繊細な歌唱が最小限の音と奏でる素敵な作品だと俺なりに感心したわけなのですが、女のひとは時を経るとこれほどに強くもなれるのか…とこの音盤聴いて更に心の底から感動。吉田美奈子や矢野顕子をも凌駕しようという歌唱。いや。初期の作品に顕著だった繊細な感性と初期の作品からはまるで想像出来ないたまらなくソウルフルな唱法が奇跡的に融合する様は間違い無く現在日本最高のシンガーとして君臨するものと確信してます。表題曲はあまりにも感動的。余談ですが名曲「ココロノウサギ」(篠原ともえ)も実はさかな楽曲。

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